硬く閉ざしていた蕾が


ほんの少しずつ 薄桃色の花びらを見せ始めて


君の入学式を祝うかのように


桜の花は満開になった。





今日も俺はこの道を歩く。



一ヶ月前、君と約束をした この道を。










桜 色 恋










3月。



「さむっ・・・」



今にも泣き出しそうな白い空


真っ白な息


それでも


今日、俺はこの道を散歩しなきゃいけない理由がある。





キミに言いたいことがあるから。

キミに伝えたいことがあるから。





向こうから来る小さな黒い人影

俺もゆっくり歩き出す。





「・・・おーちゃん?」


小さく駆け寄ってきたキミ

学校指定の紺色のコート。

きっと見るのも今日で最後。


「・・・こんなに寒いのにお散歩?」

「まぁ・・・」


くすっ と微笑みながら首をかしげたキミに

曖昧に答えた。





キミに言いたいことがあるから。

キミに伝えたいことがあるから。





「・・・卒業、おめでとう」

「あ・・ありがとう!」





俺の言葉に嬉しそうに笑ってくれる。

そんな、一つ大人になるキミに

伝えたいことがある。




















「・・・結婚、しない・・・?」






















































「晴れそぉ」



4月。



ぽかぽか陽気。


空はまだ曇が多いけど


少しずつ移動してて。


今日は春らしい一日です!


そんなお天気おねーさんの言葉を思い出す。





今までとは違う時間に

入学式前のキミと・・・早朝デート。





「おはよぉ」


声がして振り向くと

ほんのちょっと

いつもより高い位置にキミの顔。


「・・・お、はよ」

「ね、ちょっとは大人に見える?」


少し恥ずかしそうにはにかむキミは

黒のスーツに

真っ白のブラウス

少しだけあるヒールの靴が

キミの身長を少しだけ 大人にさせている。





いつもと違うキミの姿に


俺は 少しだけ とまどっていた。







「おーちゃん、花びらついてる」

「え?」


キミが近づいてきて

手を伸ばして、背伸びしたと思ったら


「わっ・・」


バランスを崩してて

俺の腕は自然と

キミの体を支えていた。





「あ、りがと。まだ靴慣れなくて・・・」


へへって恥ずかしそうに笑って

離れようとしたキミを

しっかりと 包み込む。



「・・おー・・ちゃ・・・?」



いつもは絶対外でこんなことしないけど


今日だけは いいかな って。





「・・・4年間、頑張りなさい」



ポンポン 頭をなでると



「・・・・・・・・・はぃ。」



腕の中から 小さな声が聞こえた。




















「ちゃんと4年で卒業しろよー?」

「わかってますって」


またそんなこと言い合って


「いってらっしゃい」

「いってきます!
 おーちゃんもお仕事いってらっしゃい!」

「ん。いってきます」


2人 笑い合った。




















雲間から明かりが覗き始めて



キミの首元のチェーンが



照らされて 光を放つ。



そのチェーンの先には



4年後の 約束のリング。




















あとがき

春っぽいお話が書きたくて、
2年前ぐらいに書いた2つのお話を
1つにまとめてリメイクしてみました。
甘々〜・・・。
今年も桜がやっと咲き始めましたね。
この季節好きです!
ちなみに題は、ザ☆雰囲気です(笑)

完成日 05/4/7(木)
参考   03/3/5、4/5
UP    05/4/7(木)

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