18〜eighteen〜
次の日の日曜日。
私は自分自身に驚いた。
いつにも増して勉強に集中していた。恐ろしいぐらいに。
少しでも考えるスキを与えたら、きっと先生と元彼女の事を考えてしまう。
考えることを避けるように、私は勉強し続けた。
気がつくとあたりは真っ暗になっていた。
ふと無意識に思った。
先生にメールしなければ…
でも、なんて?
このまま元彼女のことは流すか。
流して、何にもないフリしてメールのやりとりを続けて、
いつの日にかよりを戻しましたなんてメールされるの?
その悪夢みたいな現実が訪れるのは、そう遠くはないだろう…
私はただそれを待ち続けてることしかできないのだろうか?
それならいっそ正体を明かして、正直に言ってしまおうか。
私は先生が好きだと。
そんなこと言えるワケがない。
確かに私は先生に対しての気持ちを自覚した。
でも、私と先生の恋愛観は違う。
先生はもう27歳だから、これからつきあう人は将来をちゃんと考えてくれる人だと
以前メールでいっていた。
私が今まで思ってきたことは、先生のそばにいたいということ。ただそれだけ。
お互いの恋愛が違いすぎる。
そう考えると、先生に対しての気持ちを認めることができずに、
いつも踏み止どまってしまった。
今、私自身が確実にわかるたった一つのこと。それは、
私の気持ちを伝えないで、何もしないままメールを続けているうちに、
元彼女とよりをもどしましたという先生からのメールをもらってしまうことが
嫌だということ。
それだけは本当に、心から嫌だった。
私が先生になんてメールしようかと考えているうちに、
最近ある友達が悩んでいる姿が、脳裏をよぎった。
その友達には好きな人がいた。
二人は仲が良く、第三者から見ればつきあっているように見えた。
実際、私も二人はつきあっているものだと思っていたが、
本人に聞くとつきあっていないと言われた。
その友達の片思いであった。
受験が終わってから告白しようと考えているみたいだったが、
そんなことをいっていられなくなった。
その友達の好きな彼が、元彼女とよりを戻すかもしれない…
という話を聞いてしまったからだ。
彼と元彼女は夏に別れてしまったという。
別れた理由がお互い嫌いになったわけではないというところから、
よりを戻す可能性は十分にあった。
その友達はどうしていいのかわからず、混乱していた。
この話を相談された時、私は
「告白すればいいじゃない」
と言った。
よりを戻されて何もしなかったことを後悔するより、
何かしら動いて、それでも駄目だった時の後悔の方がマシだと思ったからだ。
でも、受験を控えた大事な時期に告白できないでいるというのは、
受験生にとって正常な反応なのかもしれない。
それでも私は友達に告白することを進めた。
後で後悔してほしくなかったからだ。
その時の私は、彼女の気持ちを考えてわかっているつもりだったけど、
全然わかっていなかった。
いざ自分も同じような状況になって、気持ちを伝えられずにいた。
自分の気持ちを相手に伝えるということは、
こんなにも勇気がいることだということを実感した。
先生にメールしたが、私はこれ以上にないくらいに混乱していて、
伝えたいことも満足に伝えられなかった。
先生からの昨日のメールを読んで、ものすごく悲しかったこと。
私はいつも頑張っている先生を励ましたくて、
先生のことを知りたくてメールしたこと。
以前、私がメールで話した気になる人への気持ちが恋だということを
本人から自覚させられたというのに、まだうやむやになっていて
はっきりしたことが言えないでいること。
それから、先生から元彼女とのことを聞くのは嫌だから、
メールのやりとりをやめましょうという内容のメールをした。
送信してしまってからも、本当にこれでよかったのかと迷っていた。
あんな中途半端なメールになってしまうのなら、むしろ送らない方が良かった?
でも、はっきり言えるわけない。
私はまだ生徒だし、もし告白するなら受験が終わってからと決めていたから。
それにまだ自分の中でもはっきりしていない部分がある。
なにより、私には他にやらなければいけないことがある。
そんなことはとうにわかりきったことだったけれど、
どうしても頭にちらついて、離れることがなかった。
先生がどうメールしてくるかが、ものすごく不安だった。