雨音とキミと…


 眠りたいのに眠れない。
我 浮かぶは 闇の底。
我 想うは 秋の花。
今宵、雨の中へと君を誘う…。





 電車を降り、待ち合わせの場所へと急ぐ。
昨日見た天気予報通り、
今日は雨が降っている。
雨自体はそこまでひどくなかったが、
風が強く吹いていたので横殴りの雨だった。

 濡れたタイルの上を滑らないように歩く人々。
誰もが傘を手にしていた。
私は行きかう人々の間をすり抜けながら、
彼を探した。
やや下を俯いて私を待つ彼がすぐに目にとまる。
その瞬間、私は思わずはにかんでしまう。
私はなんでもないフリをして彼に近づき、声をかけた。


 映画館までの道のりは、少し重い空気が流れていた。
はじめのうちは話をしていたが、
雨音で声がかき消されるので、終いには話すことを諦めた。

 波紋が広がる道を二人で歩く。
周りを見るとレインコートを着た小さな子供を連れた親子の姿や、
数人の女の子たちの群れがあった。
しかし、目につくのは恋人たちの姿。
一つの傘に肩を並べて歩いている。
ちょっと先を行く彼の背を見た。
こうやって歩く私たち二人は、周囲からどう見える?
重ならない二つの傘。
二人でいることの意味を探し、切なく思った。
傘を深く差し、私は自分の顔を隠していた。



 あの日と同じ雨の夜。
季節外れの台風が近づいているせいで、
秋雨前線が刺激されて外は大雨。風力はゼロ。

 窓越しの雨音を左耳で聞きく。
右耳には携帯をあて、彼の声を聞いていた。


 彼と思い出ができる日はいつも雨――…。
私は、運命の言葉を告げた。




 
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